ストレス対処法の男女の違い

クロスマーケティングが2010年8月に発表したストレスに関する調査結果によると、「ストレスで何らかの症状が生じている」と自覚している人の中で、そのストレスへの対処が自分である程度出来ていると思っている人では、対処法のトップは「美味しいものを食べる」だったそうです。

トップ10は次の通りです。

①美味しいものを食べる
②寝る
③ショッピングをする
④音楽を聴く
⑤お酒を飲む
⑥インターネットをする
⑦旅行をする
⑧友人と話す
⑨映画を観る
⑩テレビを観る


男女別では、男性が「お酒を飲む」「音楽を聴く」「寝る」「インターネットをする」「美味しいものを食べる」となっていて、女性は、「美味しいものを食べる」「寝る」「ショッピングをする」「友人と話す」「音楽を聴く」だったそうです。

男性が内向的・女性は外交的傾向が強いことがわかります。社会生活を送る上で避けて通れないのがストレスですが、自分なりのストレス解消法を見つけ、溜めこまないようにうまく発散したいものです。

被災者の心のケア③

職場のメンタルヘルス問題に取り組んでいるピースマインド・イープ株式会社と英治出版株式会社が、東日本大震災の被災者のメンタルヘルス問題に対処するため、身近で実践可能なストレスケアの指針をまとめた小冊子『災害時のこころのケア』を作成し、支援団体や書店を通じて10万部を被災地等に配布するそうです。また、サイトでもPDF版が無料公開されています。


これから長い時間をかけて復興への道のりをしっかり歩んでいくために、身近で実践できるケアの指針がまとめられています。自分のためにできるケア、女性が自分のためにできるケア、子供のためのケア、高齢者・障害者のためのケアなどがわかりやすく書かれています。

気分の落ち込みや眠れない日が続くときには専門家に相談すべきですが、今回の震災では、地震津波原子力発電所の事故とさまざまな要因があり、被災者数も膨大な数にのぼるため、心身にさまざまな不調を抱えていても、医療機関だけで対応することは難しい状況です。

人間はもともと、困難にぶつかっても自然に回復する力が備わっているといいます。被災者やその関係者、そして支援者が少しでも心の疲れをやわらげ、回復へと向かうためのヒントになるのではないでしょうか。ひとりでも多くの人の手元に早く届くといいと思います。


災害時のこころのケア PDF版 http://www.eijipress.co.jp/sp/shinsai/pdf/shinsai_free.pdf

メンタルヘルス不調者の増加に歯止め傾向

民間調査機関の労務行政研究所の調査で、最近3年間においてメンタルヘルス不調者が「増加している」と回答した企業の比率が、2008年の調査時に比べて約10ポイント低下したことがわかったそうです。全国の上場企業3589社と上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上 かつ従業員500人以上) 328社の合計3917社を対象に、2010年4月6日〜5月17日に実施された調査です。

過去の調査に比べて、メンタルヘルス対策の実施率が向上していて、企業の取り組みが不調者増加傾向の歯止めに寄与しているのではないかと考えられるそうです。

「最近3年間におけるメンタルヘルス不調者の増減傾向」についての質問に、「増加している」と答えた企業が44.4%、「横ばい」が33.7%、「減少している」が9.5%という結果だったそうです。前回08年の調査では、「増加している」が55.2%、「横ばい」が24.6%、「減少している」が2.8%だったそうです。回答企業は異なっていますが、今回は「増加」が10ポイント程度減少し、「横ばい」と「減少」が増えているという結果になっています。
 
「増加」が最も多いことは変わりませんが、過去の調査に比べるとその割合が減少している傾向が見られるということです。メンタルヘルス対策に取り組む企業はここ数年あきらかに増加していて、増加傾向の歯止めに寄与しているのではないかと考えられています。メンタルヘルス対策の実施状況を尋ねた質問では、何らかの施策を「実施している」企業が86.5%と9割近くを占めたそうです。

なお、メンタルヘルス不調により1カ月以上欠勤・休職している社員が「いる」と回答した企業は、63.5%と6割を超えていて、これは前回08年調査結果とと同水準となっています。


東洋経済オンライン記事より

メタボとメンタルヘルス

高血圧・高血糖高脂血症などを1つ以上もつ肥満の人、いわゆるメタボリックシンドローム。一見メンタルヘルスとは関係なさそうですが、ストレスや精神疲労は、内臓脂肪をためる一因になっていることがあるのです。

やけ酒・やけ食いなどとといわれるように、ストレスが強まった時にむやみに飲んだり食べたりする人は多くいます。ストレスが加わると、食欲中枢を刺激するホルモンが分泌され、食欲が増進するのです。

また、ストレスがたまるような多忙な生活は、食事時間の不規則、早食い、夜食など、内臓脂肪のたまりやすい食習慣と密接な関係にあります。

メタボリックシンドロームと診断され、減量のために生活習慣改善の指導を受けた人で、効果が得られなかった人では、抑うつ度が高いという現象が認められています。

ストレスや精神疲労に上手に対処するメンタルヘルスケアは、メタボリックシンドロームの予防や改善にも大切なのです。ストレスを引き起こしている問題をできるだけ早く解決してストレスをためこまないようにし、規則正しくバランスがとれた食事をとり、十分な休養と睡眠を確保することが大切です。また、適度な運動を行うことは、ストレスの解消と内臓脂肪の改善と、一石二鳥の効果があります。

被災者の心のケア ②

東日本大地震から数日が経過しましたが、いまだ多くの人々が、避難所などで困難な生活を送っていらっしゃることが報道されています。生活の厳しさや体の疲れもさることながら、家がなくなったり、ご家族を亡くされた、あるいはまだ行方がわからないといった人たちの、心のケアがとても気になります。

筑波大学保健管理センターが、「災害時の心のケアについて」という文章を公開しています。大学の学生・教職員向けですが、その中でも「災害にあった方々へのアドバイス」という文章は、とても参考になると思います。


http://www.tsukuba.ac.jp/up_pdf/20110317095517001.pdf


住むところも仕事も、家族さえも一度に失われた方も多いかと思います。これから先、どうやって生きていけばいいかわからずに絶望されている人もいらっしゃるでしょう。しかし今は、生き延びることだけを考えてほしいと願います。

食料も不足していて、食べることもままならないと思いますが、食べられる物をしっかり食べ、不安や寒さで眠れないとも思いますが、しっかり睡眠をとっていただきたいです。

自分ひとりで頑張ろうと思わずに、周囲の人や行政機関、ボランティアスタッフなどに助けを求めてください。時間がかかるかもしれませんが、今の状態は必ず改善されて、やがて落ち着いた日常が戻ってきます。

そして、被災はしていなくて、連日の報道で心配している私たちは、できるだけ日常の生活を送ることが大切だそうです。私たちが普通の生活を送って働かなければ、日本の経済が沈んでしまい、被災地への支援などできなくなってしまいますね。募金や節電など自分たちにできることを心がけながら、それぞれの日々の暮らしを大切にしましょう。

被災者の心のケア ①

戦後最悪の自然災害となってしまった今回の東日本巨大地震。被災された人々への一刻も早い十分な救援が必要ですが、これから多くの人に、心のケアが必要になってくると思われます。

災害に遭遇した後に現れることが多い反応として、不安感、絶望感、ひきこもり、頭痛、腹痛、食欲不振などがあります。そのほとんどは、数週間以内に軽快するといわれていますが、1か月以上経過しても次のような症状が見られる場合は、PTSD 心的外傷後ストレス症候群が疑われます。

ふとした時に、辛い体験の時に味わった感情がよみがえる(フラッシュバック)、突然感情が不安定になり、取り乱したり涙ぐんだり怒ったりする、やる気が起きない、漠然とした不安、頭痛、眠れない、落ち着かない等の症状、辛い経験をした状況や環境を避ける、など。そして今回のような地震の場合では、多少の揺れや大きな音、声などで、今までよりも敏感に恐怖感や不安感を引き起こし、パニックになる可能性もあります。

特に小さな子供の場合は、地震津波の意味が判らないうちに恐怖だけが心の中に残るということになり、のちに心身に影響が出る確率が高いようです。今避難所などでできることは、両親などの身近にいる大人が、常に寄り添って身体を触っていてやるとか、抱きしめてあげるようにしてスキンシップを図ることです。そして、必ず守ってあげるから大丈夫と伝えることです。

また、直接被害にあっていなくても、テレビ報道などで凄惨な状況を観ているだけで、PTSDになる人もいるそうです。小さな子供や高齢の人などは、気持ちが入り込み過ぎて、自分が被災したような感覚に陥ることもあるので、テレビ視聴にも気をつける必要があるということです。

社団法人 日本小児科医会が子どものPTSDに関するリーフレットを発表しています。http://jpa.umin.jp/download/kokoro/PTSD.pdf

心の健康と病気

心の病気、精神疾患がないからといって、必ずしも心が健康であるとはいえません。そもそも、心が健康であるとはどのような状態を指すのでしょうか。およそ、次のような状態であると思われます。

①情緒的健康 自分の感情に気づいて表現できること
②知的健康  状況に応じて適切に考え現実的な問題解決ができること
③社会的健康 他人や社会と建設的でよい関係を築けること
④人間的健康 人生の意味を見出し、主体的に人生を選択すること

私たち日本人の暮らしは昔に比べると物質的は恵まれて豊かになっていますが、豊かな暮らしと言うのは単に物や環境・機材に恵まれているというだけでなく、こころの豊かさも必要にしています。かつては比較的「特別な病気」とみられがちな「心の病気」が、今では多くの人々にとって身近な問題になってきているのは事実です。

心が健康である状態を維持するには、個人の資質や能力以外にも、身体状況、社会的状況、家庭や職場の環境、対人関係などさまざまな要因が関係しています。

このため、心の健康という問題には多角的なアプローチが必要です。行政、企業、病院、学校、家庭などの各方面で、習慣や行動の形成や維持などについて行動科学に基づいたメンタルヘルスケアを、取り入れていく必要があるでしょう。