企業のメンタルヘルス問題の現状

IT企業、エレクトロニクス関連の技術系の会社では、うつ病を患っている人が社員の5%ぐらいいるそうです。こういった業種を選ぶ人は、もともと営業など人間関係が苦手なので、できるだけ人間関係のストレスが少ない技術系を選んでいるということも関係していると思われます。

しかし、いくら技術系といっても、ベテランになれば部下ができたり、関連部局の調整をしたり、客先との調整など、人間関係は避けて通ることはできません。

最近では多くの会社で、メンタルヘルス対策や研修を行っています。全従業員にカウンセリングを受けさせたり、うつ病の社員に、2〜3年の農業体験させることを計画している会社もあるそうです。ただ、多くの会社では何とかしたいと思っていても、そこまでやる余裕がないと考えている企業がほとんどではないでしょうか。

メンタルヘルス研修やストレス研修などを開催している会社でも、その多くが一般的な知識を教える研修にとどまっているのが現状のようです。

しかし、メンタルヘルス問題は単に健康問題の枠を超えた、大きな経営リスクになっています。厚生労働省の調査では、日本国内の精神障害による欠勤の労働損失だけでも、9468億9400万円にものぼるという試算がされています。

メンタルヘルス対策は、単なるコストが掛かるだけのマイナスの対策ではなく、人材の成長、企業風土の醸成、企業の利益へとつなげていける前向きな対策であると認識する企業がもっと増えることが望まれます。