解離性障害

解離性障害とは、かつてヒステリーと呼ばれた神経症の一種です。

本来、1人の人間の意識・感覚・記憶は統一されていますが、事件に巻き込まれたショックなど、強いストレスを受けた時に、意識や人格面での統一性が一時的に失われることがあります。これが解離です。解離性障害には解離性健忘や解離性同一障害などがあります。

解離性健忘とは、最近の苦痛をともなう嫌な体験などを思い出せなくなることをいいます。通常は、嫌な記憶だけを忘れますが、中には今までの経験や生活歴をすべて忘れてしまう場合があり、これを全生活史健忘といいます。全生活史健忘になっても、日常生活に必要な記憶や習慣などは保持されています。

また、現実から逃れて何日間か生活の場から失踪してしまうケースもあり、これを解離性遁走と言います。遁走している間の記憶は思い出すことができません。

解離性同一性障害とは、以前に二重人格(多重人格)と呼ばれていたもので、2つ以上の人格を持つ症状をいいます。人格が複数に分かれてしまい、1人の人間にまったく違った人格が現れたり消えたりするものです。ひとつの人格が現れているときは、他の人格の存在や行動については覚えていません。

解離性障害の治療は、支持的精神療法や精神分析催眠療法などの精神療法を中心に、必要に応じて薬物療法抗不安薬抗うつ薬抗精神病薬)を行います。