全般性不安障害(GAD)

不安障害とは、不安を主症状とする神経症のことをいいます。神経症という用語は正式な診断名としては使われなくなってきていて、現在では「パニック障害」と「全般性不安障害」の2種類です。

全般性不安障害は、パニック障害より患者数は3〜4倍多いといわれていて、理由のない漠然とした不安感が、ずーっと続く状態で、そのうち不安や心配事をコントロールできなくなり、心身ともにバランスを崩してしまう病気です。

パニック障害の場合は、発作の起きる場所がある程度予測できるのに対し、全般性不安障害は、予測できない理由のつかない不安感に悩まされます。何をしてても不安が頭から離れず、症状が進むと日常生活にまで支障をきたしてしまいます。

何らかの精神的なショック、心配ごと、悩み、ストレスなど、精神的原因と思われる出来事があることもありますが、まったくないこともあります。過労、睡眠不足、かぜなど、身体的な状況がきっかけになることもあります。

パニック障害では患者の特別な性格傾向はみられませんが、全般性不安障害はもともと神経質で不安をもちやすい性格の人に多い傾向があります。女性に多く、男性の倍以上といわれています。

次のような症状があれば、注意が必要です。


①そわそわとして落ち着きがない
②ずっと緊張感が続く
③眠れない、寝ても寝た気がしない
④何事にも集中できない または 心が空白になる
⑤刺激に対して過敏に反応してしまう
⑥疲れやすい
⑦頭痛や肩こりなど筋肉が緊張している
⑧不安や心配事のない日がある日より多い
⑨悲観的になり、人と会うのがわずらわしい など

不安症状は、治ったり発生したりを繰り返しながら、慢性的に進行していきます。また他の精神症状(うつ病パニック障害など)と併発しておこることも少なくはないです。再発も比較的多い病気です。

治療は、薬物療法と精神療法が行われますが、全般性不安障害にはパニック障害のような決まった薬はなく、抗不安薬ベンゾジアゼピン系:セルシンなど、タンドスピロン:セディールなど)が用いられ、症状と関連のある日常生活の悩みやストレスについて、医師に相談しアドバイスを受けるなどの精神療法が行われます。うつ症状を合併する場合は抗うつ薬が用いられます。