ストレス症候群⑤ サンドイッチ症候群

サンドイッチ症候群とは、上司と部下の狭間にいる中間管理職が、上司からの圧力と部下からの突き上げにより挟まれた「サンドイッチ状態」になり、強いストレスにより心身が不調となる症状です。管理職特有の症候群であるため、管理職症候群、マネージャー・シンドロームなどとも呼ばれています。

中間管理職で、誠実な人柄で面倒見もよく、上司からも部下からも頼りにされている半面、対人関係に気を遣い過ぎて、頼まれると断れない、上司にも部下にも強いことが言えないといった人が、心身の疲労を蓄積してかかりやすいのがこの症状の特徴です。

サンドウィッチ症候群では、まず上司からの命令によるストレスがあります。管理職には、その部署をまとめ成果をあげることが求めれ、ノルマが課せられます。特に、近年の不況のため成果をあげられないとリストラの対象とされてしまうこともあり、その不安と相まって悩みが大きくなることもあります。しかし、上司の要求を「できない」と言って断ることができません。

そして、部下への対応もストレスになります。上司には成果をあげるよう言われているので、部下にそれを伝えたり、動かそうとしますが、部下から不平不満を言われたりして、思うようにいきません。しかし部下の言い分もよく分かるので悩んでしまいます。

さらに、管理職につくと急激に仕事の量が増えたり、責任が重くなるなど身体的にも精神的にも疲れるポジションに立つことになります。やりたくない仕事でも立場上やらざるを得ないことが多くなってきます。管理職の多くは中年期にあたる人であり、そのころには、徐々に体力の衰えが目立ち始めるので、このような身体的・精神的ストレスに対抗する力がだんだん弱まっていきます。

しかも、中年期になると家庭にも問題を抱えている人も多いです。子どもが思春期で扱いが難しかったり、受験を控えている、親の介護の問題もあるといった感じで、家庭に帰っても居場所がないような状態であり、上司・部下・家庭からのトリプルのストレスを感じることにもなってしまいます。

身動きのできない状況になるとだんだんと疲れがたまって、慢性疲労状態、高血圧、動悸、めまい、不眠、抑うつ状態、自律神経失調、消化器官系の疾患などが現れます。

サンドイッチ症候群を予防するためには、無理なことは無理と言える環境を作ることが大切です。なんでも率直に話し合える上司部下関係を築き、お互いに主張しあえるようにします。また、休日には仕事を離れて過ごし、趣味などで仕事を忘れリフレッシュする、家庭が安らぎの場であるようにすることも必要です。