老年期のメンタルヘルス

老年期に入ると、脳の老化が進むことにより、認知症がおこりやすくなります。80歳以上の人口では、かなりの部分が認知症の症状を示すといわれています。また、脳梗塞後の麻痺などに代表されるように、身体の不自由さも加わってきます。

認知症を完全に予防することは困難で、認知症になったら、リハビリなどでできるだけ進行を遅らせ、デイケアや人との交流などでこころの安定をはかることが大切だといわれています。

また、老年期になると会社を退職するなどといった社会的役割や目的の喪失、身内や友人との死別などの人間関係の喪失など、喪失体験が精神的ストレスとなって、うつ病を発症するようになります。

老年期のうつ病は、身体の不調などの身体症状が前面に出ることが特徴です。焦燥感も強く、先行きを悲観しての自殺の危険も高くなっています。さらに、高齢者のうつ病では妄想を伴うことが多く、うつから認知症に移行するケースもあります。うつは治療可能な病気なので、もう年だからと見逃すことなく、早期発見・治療が大事になります。

他の年代よりも気をつけたい点は、孤立を防いで、本人の治療意欲を維持させていくということです。