中年期のメンタルヘルス

中年期とは、40代半ばから50代ぐらいの時期で、体力的な衰えが目立ち始め、無理が効かなくなります。成人病・生活習慣病の好発時期であり、女性は閉経期を迎え、更年期障害などの不調が目立ちます。

夫婦間では、お互いへの関心が薄かったり、子供が思春期を迎えて、進学や就職などに関する問題が起こりやすい時期です。

経済的には、子供の教育費や住宅ローンなどの出費が多く、苦しい時期でもあります。

さらに、自分や配偶者の両親の介護や死に直面する時期でもあり、人格的には円熟期を迎えますが、生活への充実感や幸福感は薄い人が多いといえます。

このように、中年期は身体面の衰えに加えて家庭でも職場でもプレッシャーやストレスを受けやすく、そのことがメンタルにも様々な悪影響を与え、危機が生じやすい時期です。

精神的なスランプやうつ状態のピークは中年期であるといわれています。幸福感と良好なメンタルヘルスは、生涯でみるとU字型を示していて、幸福度は20歳のときに高く、徐々に下降して40歳代で最低となり、その後再び上向きになるといわれています。世界的にうつ状態になる可能性が最も高いのは、44歳ころだといいます。

若いころから目指していた自分に、今の自分はまったくなっていないという思いや、子供の養育に夢中になっていたのに、子供が自立して離れてしまった、といったことから、燃え尽き症候群・空の巣症候群などのうつ状態になる人が増えるわけです。

変化しつつある家族との関係を考慮しながら、家族と自分との調和をいかに獲得していくかということが中年期の課題といえます。