アルコール依存症

アルコール依存症は、薬物依存症の一種で、アルコールの摂取によって得られる精神的、肉体的な薬理作用に強く囚われ、自らの意思で飲酒行動をコントロールできなくなり、強迫的に飲酒行為を繰り返す精神疾患です。飲酒量が極端に増えると、やがて自分の体を壊したり、社会的・経済的問題を引き起こしたり、家族とのトラブルを起こしたりするようになります。


飲酒は、宴会など機会がある時だけ飲む「機会飲酒」や、晩酌や寝酒など習慣的に飲酒する「習慣性飲酒」の場合は、飲む量が適量であれば正常な飲酒といえますが、自分で自分の飲酒をコントロール出来なくなり、飲みだしたら止まらなくなったら病的な飲酒です。たとえ、1回に飲む量が少なくても、1日に一人で日常行動の合間に何回も飲むようになると、アルコール依存症と見なされます。

さらに進むと、一人で飲んで寝て、起きてまた飲む「連続飲酒」をするようになり、アルコール依存症の週末状態になります。


アルコール依存症になった人が、元の機会飲酒者に戻ることはほとんど不可能です。たとえ身体的に回復し、数年にわたる断酒を続けていた人でも、一口でも飲酒をすることによって再び元の強迫的飲酒状態に戻ってしまう可能性が非常に高いといわれています。根本的な治療法といえるものは現在のところ、断酒しかありません。

本人が病気の自覚と治療の意思が持つことが必要不可欠で、断酒会などの自助グループへの参加をしたり、病院でノックビンシアナマイド経口薬などの抗酒剤の投与を受ける治療法があります。

日本の飲酒人口は6,000万人程度と言われていますが、このうちアルコール依存症の患者は230万人程度だということです。飲酒者の26人に1人がアルコール依存症ということになり、精神疾患の中でも罹患率が高く、誰でもかかる可能性がある病気だといえます。