解離性障害

解離とは、「過去の記憶、同一性と直接的感覚の意識、そして身体運動のコントロールの間の正常な統合が一部、または完全に失われた状態」とされています。従来はヒステリーと呼ばれていたもので、転換型ヒステリー、解離型ヒステリーに分けられていたものです。

解離として現れる状態は、次のように分けられます。


1.解離性健忘

最近の外傷的出来事や心理的出来事に関する部分的、もしくは完全な健忘が起こります。多くは部分的、選択的な健忘ですが、まれに長期にわたる全生活史健忘の形をとることがあります。

2.解離性遁走

苦痛を伴う不快な体験をしたときに、それから逃れるために、家庭や職場から離れる旅に出て行方不明になり、後で発見されたときその期間のことを覚えていないものです。

3.解離性昏迷

ストレスの多い出来事、対人関係上の問題や社会的な問題などが心因となって起こった昏迷状態です。昏迷状態とは、運動の著しい減少、または欠如をいいます。長い時間ほとんど動かないで、横たわったままでいる、しゃべらず食事もとらない状態です。

4.トランス 及び 憑依障害

自分が自分であるという認識と感覚を喪失している状態を言います。霊魂、神あるいはその他の力に取り付かれているように振舞います。

5.運動及び感覚性解離性障害

四肢の一部あるいは全部ないし身体の一部を動かす能力の喪失した状態です。四肢の不全麻痺、完全麻痺、協調運動失調のため奇妙な歩行であったり、介助なしでは歩けない、声が出ない、痙攣などの症状があります。

6.その他の解離性障害

ガンザー症候群や多重人格障害など。ガンザー症候群とは、簡単な質問に対して答えを知っていると思われるのに、正解に近い曖昧な答えや的外れな馬鹿げた答えなどをしてしまう症候群です。多重人格障害とは、明確に独立した性格、記憶、属性を持つ複数の人格が1人の人間に現れるという症状です。


解離性障害の治療は、精神安定剤の服用で改善が見込まれます。また、精神分析療法、行動療法、催眠療法などの精神療法も行われます。