慢性疲労症候群

慢性疲労症候群とは、これまで健康に生活していた人に、原因不明の強い全身倦怠感、微熱、頭痛、筋肉痛、精神神経症状などが起こり、長期にこの状態が続いて健全な社会生活が送れなくなるという病気です。

慢性的な疲労感をはじめとして、多岐にわたる不定愁訴があるのに、通常の保険診療で認められている一般臨床検査では異常がみられません。しかし、踏み込んだ検査を行うと、神経系、免疫系、内分泌系の異常が認められています。

最近の研究によって、社会心理的なストレス、遺伝的な要因、ウイルス感染などによって引き起こされた神経・内分泌・免疫系の変調に基づく病態であり、異常に産生されたサイトカインなどによる脳・神経系の機能障害であることが明らかになってきています。

慢性疲労症候群は女性に多い傾向があって、20歳代から40歳代の発症が多いのが特徴です。定義があいまいなので、診断は非常に困難です。典型的な症状に加えて、他の考えられる病気を除外することを優先して最終診断に導いていく除外診断という方法をとります。

治療法は、慢性疲労症候群に保険適応する薬がないのが現状です。抗不安薬や鎮痛薬で対処的な治療が行われるほか、抗うつ薬やビタミンC投与などが効果的という報告もあります。最近では、徐々に活動量を上げていくことを目的とした認知行動療法が最も効果的といわれています。