女性のメンタルヘルス①

女性は、男性に比べると心理社会的なストレスの素にさらされやすい状況にあるといえます。

女性の社会進出は増えていますが、現代社会はまだまだ男性優位が多くみられます。職場では仕事内容、待遇、昇進などで不公平や不満を感じている人がたくさんいます。家庭では、家事や子育て、老親の介護問題などを、どうしても女性が引き受けざるを得ないのが現状です。

そして、結婚で姓が変わるのは圧倒的に女性が多いし、夫の転勤に伴って見知らぬ土地に転居する、仕事を辞めなければいけないなど、環境の大きな変化や、妥協または我慢が要求される場面が、男性よりは女性の方が多いといえます。

これに加えて女性は、心の病気と密接な関係がある女性ホルモンの影響を受けています。毎月の生理だけではなく、妊娠、出産、更年期など女性は一生のうちに何度も、大きなホルモンの変動を経験します。

女性らしい体型を作ったり、子宮の筋肉を発達させたりする働きがあるホルモンのエストロゲンは、神経伝達物質セロトニンにかかわって、心や感情の調節に一役かっています。セロトニンの濃度が低下すると、不安や抑うつ状態といった精神状態を引き起こすといわれています。

ホルモンの分泌を司っている脳の視床下部の働きが、ストレスや過労によって乱れると、ホルモンの分泌をうまくコントロールできなくなって、心の病気を引き起こしやすくなるのです。