脅迫性障害②

脅迫性障害の原因は、セロトニン(神経伝達物質)の調節障害や、脳の一部分の代謝や血流の亢進異常など、さまざまな仮説が立てられていますが、遺伝的要素を指摘する声や、自分では認めたくない不安や心の葛藤を強迫観念、脅迫行為にすりかえているという考え方もあります。はっきりとした原因は、まだ解明されていません。

強迫性障害を発症しやすいタイプとしては、何事も完璧にしなければ気が済まない人、規則や秩序にとらわれがちの人、細部にこだわり全体を把握するのが苦手な人、真面目で理想主義の人、がんこで融通のきかない人、優柔不断な人、仕事人間で生産性にこだわる人、形式主義の人です。

時々手が汚れているように思う、かぎのかけ忘れが気になるといった程度では病気とまではいえず、脅迫性障害の診断基準としては、通常1日に1時間以上、強迫観念、脅迫行為があり、さらに本人もこれらが不合理だと認識しており、そのために強い苦痛を感じ、時間を浪費している、あるいは日常生活や人間関係などに支障をきたしている場合です。

治療は薬物療法と精神療法を併用します。脅迫行為の儀式や不安が耐えられないほど強くなってきたときは、入院の手段を取ることもあります。

薬物療法では一般的に、SSRIなどの抗うつ薬を用います。一緒に炭酸リチウム、抗精神病薬を用いることもあります。精神療法は、行動療法が中心です。薬物療法と同様の効果があって、しかもより長時間持続することが報告されています。

本人もやめたいと思っているのにやめられなくて苦しんでいる病気なので、くだらないことはやめなさいなどと、叱るのは逆効果です。