精神疾患の労災認定の増加

1999年9月に『心理的負荷による精神障害に係る業務上外の判断指針』が公表されてから、精神疾患の労災申請は年々急増しているのだそうです。また、過労や職場でのストレスからうつ病などの精神疾患となり、自殺に至る「過労自殺」も増加しています。 厚生労働省は、「長時間労働に加え、仕事の重圧なども精神疾患の原因になる」として、労働環境の改善を求めています。


業務上の疾病と判断されるのは、以下の条件をすべて満たしている精神障害です。

①対象疾病(うつ病など)に該当する精神障害を発病している。

 ②対象疾病の発病前おおむね6カ月の間に客観的に、この精神障害を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められる。

 ③業務以外の心理的負荷および本人側の理由からは、この精神障害を発病したとは認められない。

過労自殺については、原則として発症前6カ月の間に、長時間労働や仕事の量・質の大きな変化、重大なミス、出向やセクハラなどの業務上の強いストレスがあったことが認定の要件となります。


労働者の精神疾患が増えている背景には、企業が目先の発症者対策に追われ、長時間労働が減らないという根本的問題があるようです。また、個人主義や「勝ち組」「負け組」といった考え方が横行し、会社の中で連帯して集団的に問題を解決する能力が低下していることも一因といえるかもしれません。

精神疾患にかかる労働者を減らすには、職場や家族が一体となって取り組んでいくことが必要だといわれています。