子供のメンタルヘルス①広汎性発達障害

対人関係やコミュニケーションに障害があったり、物事に対する興味や関心の幅が狭かったり、いつも同じパターン化された行動(情動行動)を繰り返すといった症状が、さまざまな場面で起こる一連の症候群を、広汎性発達障害といいます。広汎性発達障害には以下のようなものがあります。

自閉症

自閉症の特徴としては、大きく分けて「相互的な対人関係の障害」「言葉を含むコミュニケーション能力の発達の障害」「行動や興味、活動性が限定されやすい」といったことが挙げられます。

自閉症の典型的な症状が見られるのは、おおよそ2歳から4歳にかけての幼児期です。女子より男子に多くみられます。乳児の頃からすでに、視線を合わせなかったり、あやしても笑わない、母親の後追いをしないなどの傾向が見られることがあります。

自閉症の原因はまだはっきりされていませんが、いろいろな要因が複合的に絡み合って、脳の機能の発達が障害されると考えられています。

治療は、なるべく早期に発見して早いうちから発達段階に応じた適切な療育をすることが大切だと言われています。児童精神科などの専門医のもとで、育て方の助言や指導、訓練を行う専門施設を紹介してもらうことも必要です。


アスペルガー症候群

明らかな言語の発達の遅れがないという点で、自閉症とは異なります。また、自己管理能力や適応行動にも遅れはありません。対人関係に障害があり、また物や習慣などに対するこだわりなど、限定された反復、常同的な行動、興味、活動の障害があります。

こうした特徴があるため、幼稚園や小学校でみんなと一緒に行動したり、ルールがある遊びが苦手です。また、不器用で人の感情をうまくつかめないために、いじめにあったりします。時には、状況に応じた行動ができないので、パニックを起こしたりもします。

しかし、知的発達に遅れはないので、障害があることがなかなかわからずに、思春期になってから見つかることもあります。思春期には不登校になったり、強迫症状が出たり、自傷行為をしたりするおそれがあります。高校や大学への進学も可能ですが、職業については、協調性を求められる職種はなかなか難しいようです。

できるだけ早く子供の様子に気付いて、専門医に診てもらうことが大切です。専門医の治療、指導を受けながら、他人とのかかわり方や対人関係の持ち方を学んでいくようにします。



こうした子供の様子に早く気付いて、できるだけ早く専門医に診てもらうことが必要です。専門医の治療、指導を受けながら、他人とのかかわり方や対人関係の持ち方を学ぶようにします。


広汎性発達障害には、ほかにも「レット症候群」や「小児期崩壊性障害」などがあります。