持続性疼痛障害

持続性疼痛障害とは、日常生活に支障が出るほどの原因のわからない部分的な痛みが続く病気です。

病院でいくら検査をしても痛みの原因がわからず、痛みが持続するため本人は不眠や歩行困難など、日常生活に支障をきたすことが多いようです。

痛みが起こる原因は、痛みの感覚をコントロールするエンドルフィンというホルモンの供給不足という説もありますが、病気の根本には、対人関係や家族関係などといった心理的な問題も隠れているといわれています。

中高年の女性に多く、過去に家庭的に大きな負担を負わされたり、他人に自分を無理に合わせて生きてきたようなタイプの人に多く見られるといわれます。

ある日、何の前触れもなく突然痛みが現れ、ひざ、腰、肩、膝、胸、腕など人によっていろいろな部位に現れます。一度に数か所、同時に感じることもあります。痛みの種類や程度は個人差がありますが、最も多く現れる痛みは、圧迫痛と刺痛で、痛みの他に、しびれ、ピリピリ感、ジリジリ感などの感覚を訴えこともあります。

痛みが強いため、鎮痛剤を飲んでも痛みがやわらぐことはなく、痛いところをかばうために不自然な姿勢で動くので、他の部位に痛みが現れることもあります。

こうした原因不明の痛みや異常感覚は、精神的な苦痛が抑圧され、身体症状として象徴的に現れていることが多いとされ、病院で検査しても病院を変えても原因がわからない場合は、精神科を受診するのがよいでしょう。

ストレス症候群④ アダルトチルドレン症候群

アダルトチルドレンとは、子供のころに「機能不全家庭」に育ち、トラウマによって傷ついて大人になった人のことをいいます。

たとえば、親がアルコール依存症などの酒害家庭に育ち、両親が不仲で、子供のころから「家庭の秘密を漏らさないように」「両親を困らせないように」と、自分の感情を押し殺すような生き方をしてきた人に多く見られます。

子供時代にうまく感情を表現することができなかったため、自分の感情を認めたり、表現することが苦手です。また、大人を信頼できずに育っているので、他人を信頼する力が弱く、他人と親密的な関係を築くことができません。

甘えたくても甘えさせてくれる人がいなかった子供時代を送っているので、大人になってからも人に依存することがうまくできず、相手や自分をコントロールしたがったり、支配しようとします。

アダルトチルドレンは、病名や医学用語ではありませんが、「生きづらさ」を持っているために、うつ病、不安症、依存症、人格障害心身症などの各種の精神障害になりやすいといわれています。

自分の幼少期のトラウマを思い出して、それを受け入れて克服することが必要だといわれます。過去の傷つけられた幼い自分を優しく見つめ直し、愛情を注いで古い心の傷を癒してあげることで、現在の心の問題や病気が回復します。

ストレス症候群③ 帰宅拒否症候群

帰宅拒症候群とは、いわゆる「会社人間」が仕事第一で家庭を犠牲にした反発などから、家族が仕事や夫自身に理解や関心を示さなくなって、家庭に居場所がなくなり、帰宅してもイライラしたり眠れなくなったりして、安らぎを得ることができなくなり、精神的に追い詰められて、うつ状態におちいってしまいます。40代から50代の働きざかりの人に多く、軽症うつ病の一種です。

兆候として、必要もないのに会社に居残るようになったり、退社してもすぐには家に帰らず、途中で時間をつぶして、家族が寝静まったころにこっそり家に帰るようになります。

蒸発してしまいたいと思う、うつ気分、意欲の低下などがみられ、ついには家に帰れなくなり、ビジネスホテルやサウナに寝泊りするケースもあります。

発症の原因としては、仕事がうまくいっていない、出世がストップした、同僚や後輩が上司になっているなど、さまざまな職場のストレスが大きく関係しているようですが、もっと大きな問題は、家族、特に奥さんとの関係です。

帰宅拒否症候群になりやすいのは、特に趣味もなくスポーツもしない、仕事一筋の生真面目なタイプが多いようです。


患者本人の意識改革だけではなく、家族を含めて相談をして、家族全員で家庭のあり方を見直すことが大切になります。しばらく家庭から離れた方がいい場合には、ナイトホスピタルを利用して、会社が終わったらナイトホスピタルに帰り、そこからまた出社する、といった治療法もあります。

ストレス症候群② テクノストレス症候群

コンピュータを扱うことが原因で起きる、精神的な失調症状をテクノストレス症候群といいます。「テクノ依存症」と「テクノ不安症」の二つがあります。

テクノ依存症は、コンピュータに熱中しすぎて、アルコールなどの依存症と同じように一種の中毒症状に陥る状態です。発想が次第に機械的なものになり、家族や職場の人たちとの情緒的な関係を煩わしく感じるようになります。そのために、相手の気持ちをくみ取ることができず、対人関係に支障が生じやすくなります。会社員だけに見られるわけではなく、家庭にも学校にもパソコンが欠かせない状態になっている現代、誰にでもおこりえます。

テクノ不安症は、テクノ依存症とは対照的な症状です。コンピュータに拒否反応を示す人が多い中高年のサラリーマンに多くみられます。パソコンの前に座っただけで心配になり、冷や汗が出たり震えがおきたりして、パソコンに対する不適応状態があらわれ、仕事に支障をきたすようになります。

このようなテクノストレス症候群は、新しい技術革命としての現代文明がもたらした、新種のストレスによるこころの障害だといえます。しかし、もはやコンピュータなしに生きていくことは不可能になっている現代、コンピュータと調和して生きていく方法が模索されています。

コンピュータにけして支配されず、自己実現のひとつの道具としてみなすこと、コンピュータ作業による疲労の兆候を見逃さず、適度に自己の心身をコントロールすること、温かみのある人間関係を維持できる職場づくりをすることなどが求められています。

ストレス症候群① 空の巣症候群

子供が成人して独立し、夫も働き盛りで家のことを顧みないために、一人で家に取り残されたような気分になって、それがきっかけで心の不調を訴えるようになるケースを「空の巣症候群」と呼びます。

子育てを生きがいとしてきた良妻賢母型の専業主婦に多く、内向的で人づきあいが苦手、家にいるほうが好きというタイプに多いといわれています。

頭痛、肩こり、胸苦しさ、吐き気、食欲低下、不眠などの身体症状を伴うことが多く、更年期障害と誤診されやすいのもこの症候群の特徴です。虚しさや不安から飲酒がやめられなくなる、いわゆるキッチンドリンカーになることもあります。

症状が強いときには医療が必要で、薬が効果的です。心療内科メンタルクリニックを受診します。

予防としては子供はいずれ育っていくものと考え、趣味や習い事を通じて、子供以外の生きがいを見つけることが大切です。地域の集まりには積極的に参加したり、夫とのコミュニケーションをもっと増やして、共通の趣味を見つけて第二の人生を夫婦で楽しく過ごせるようにします。

ストレスに負けないための食生活

食べ物や食生活で直接ストレスを解決することはできませんが、体の健康を維持するために必要な栄養素が不足していると、ストレスを強く感じたり、ストレスに弱くなるなどの影響があります。

忙しいからと、市販の弁当やスナック菓子で食事をすませるといった乱れた食生活が続いている人は、ストレスに弱くなっているかもしれません。ストレスに関わる栄養素には次のようなものがあります。


○カルシウム

カルシウム不足はイライラの原因になります。納豆などの大豆製品、しらす干し、チーズ、骨まで食べられる小魚類を積極的に摂るようにしましょう。また、カルシウムの吸収をよくするためには、魚や干ししいたけに多く含まれるビタミンDが必要です。

マグネシウム

マグネシウムは、カルシウムの働きを調整する作用があります。マグネシウムが多く含まれているのは、アーモンド、カシューナッツ、大豆、落花生などのナッツ類、干しひじき、納豆などです。

コレステロールとビタミン

コレステロールは、体がストレスと戦う上で必要な副腎皮質ホルモンの原料になります。副腎皮質ホルモンが生成されるときに、ビタミンCやビタミンB6とパントテン酸が必要です。こうしたビタミンが不足していると、副腎皮質ホルモンを十分につくることができません。


サプリメントで単体の成分だけをとりさえすれば有効に活用できるというものではなく、幅広い食品に含まれている栄養素や成分が必要です。いろいろな栄養素をバランスよくとることが食事の面では大切なことで、市販のお弁当や外食では、タンパク質や脂質が多くなり野菜不足になりがちで、ビタミン、ミネラルが不足します。毎日は無理でも、休日には野菜などをたっぷりとれる食事を心がけるだけで、ずいぶん違います。

薬物依存症

特定の薬物に対する依存が強固になった結果、その薬物の使用を自分でコントロールできなくなってしまうのが薬物依存症です。法律で禁じられている麻薬や、過剰な睡眠薬だけでなく、日常的な息抜きに用いられるニコチン、アルコール、カフェインなどへの過剰な依存も薬物依存症として扱われます。

薬物依存症の症状は、精神依存と身体依存の2つに分けられます。

精神依存とは、心理的に原因薬物を激しく渇望する状態です。原因薬物が手許にない場合、その薬物に関する思考が意識の中心を占め始めます。重度になるとその薬物に関する思考(使用時の快感度への思い)などによって、日常的に意識が乗っ取られたような状態になります。

身体依存とは、その原因薬物のために生じる体内の生理機能の変化のことです。以前より多く摂取しないと、以前と同じ効果が得られなくなる耐性ができます。そして、その薬物の摂取を中断したときに、不快な症状が出現します。原因薬物によって症状の出方に差異があります。

薬物依存になる原因の一つは、脳の神経科学的機能の変化です。薬物依存症は心や性格というより、脳の病気と見ることができます。報酬や快感を得ると、脳内の神経伝達物質であるドーパミンなどが活性化しますが、薬物依存症になるとドーパミンなどが関連する脳内部位に何らかの病的変化が生じてしまうといわれています。

そして、気持ちの慢性的な落ち込みや、 不安定な人間関係などの心的要因、生活環境、日常のストレスといったさまざまな要因が相互作用し、薬物への依存が進行した結果、治療が必要な薬物依存症に至ります。もともとうつ病などの心の病気があり、不安定な心を癒す手段として薬物を求めてしまうことも多いです。

薬物依存症では、自力でその状態から抜け出すことは非常に困難であり、回復するためには適切な治療を受けることが不可欠になります。